私はよく家の周りを散歩します。 
散歩をしていると風がそよぎ、木々が揺れ、落ち葉がひらひらと舞う音が聞こえてきます。
都会の喧騒から離れ、自然の中に身を置きながら心を落ち着かせることで、自分の中にある感性と自然の魅力というものが混ざってくるのです。ですので、なんのあてもなく小川の横や落ち葉の上を歩く時間というのが作曲をするものとしての私にも、一人のただの人としての私にとってもかけがえのないものなんですね。

近くの公園にて

散歩から帰ってくると、私はピアノの前に座ります。暗い部屋の中に一灯だけ電気をつけ、そして鍵盤と楽譜だけを照らすのです。
他のところに目が行かず、ピアノと私の二人きりの空間が作れるからです。散歩は自然の魅力を全身で受け止めるように、そしてこの部屋ではピアノだけに神経を集中させて音楽に向き合うようにしています。

自宅のピアノ

ですから、私にとっては散歩で吸い蓄えた自然のエネルギーを自室のピアノに、そして音楽に吹きかけるという、まるで呼吸のようなことを続けているのです。
息を吸うことも大事ですが、息を吐くことも大切。この二つのことがうまく繰り返されるために、散歩と暗い部屋というのはなくてはならないものなのです。

寒い冬を前にした、気持ちのいい秋の心地よい風が体に満ち溢れてきた今日このごろです。
これから寒くなっていくでしょうが、皆様も暖かくお過ごしくださいね。